■ポストモダン絵本ってなに?
『ポストモダン絵本』という言葉をみてからその響きにひかれて、
『子どもはどのように絵本を読むのか』という本を読んでみました。
それまで絵本に時代背景とからんで多少流れがあることは知っていましたけど、あんまり意識して考えたことはなかったんです。
いろいろな歴史を経て、現代絵本がこんなにも進化していることを知って、ますます絵本に興味をもったのでした!
さて、ポストモダン絵本というのは何をさすのか?というと、1970年代〜1980年代以降のモーリス・センダックからはじまった絵本の流れをさします。
『ポストモダン絵本』といわれる絵本の特徴は。。。。
- 未完結性
(物語の解釈は読者にゆだねられる・・)
- 衝撃性
(いままでの手法を大胆にやぶる!)
- メタフィクション/間テキスト性
(作品の成り立ちそのものに関心をむけさせる)
- 抽象的イメージ
(いままでの絵本のように物語を補充するものではなく、絵そのものに独立した意味がある)
- 意味の崩壊
(とっぴな出来事がごく自然なこととしておこる)
この5つの特徴のうちいくつかの要素があれば『ポストモダン絵本』といわれています。
とすると、『クレヨンしんちゃん』も立派な”ポストモダン”なんですね〜・・(えほんじゃないけど)
絵本の歴史をだとると、この現代の流れは児童文学界のなかでも際立った改革ともいえるのです!
それまでの絵本というと、”教育”を主体とする教訓じみたものが多く、イラストはあくまで文章を補うものでした。
でもポストモダン絵本の大きな特徴は”抽象的イメージ”にもあるように、
絵そのものが独立して一冊の本のなかで新たなストーリーを作り上げているのです。
具体的に絵本をあげて内容を説明しますね!
『子どもはどのように絵本を読むのか』
でも触れられているジョン・バーニンガム(John Burningham)の
『Granpa』
は、”おじいちゃんの死”というのがテーマになっています。
その重いテーマをやさしいイラストで飽和しつつ、直接的な言葉ではなくイラストでその内容が読み取れる構成になっています。
さかぶーも実際読みましたが、かなりな衝撃を受けました!
絵本の左のページが、茶色のイラストで主人公の女の子(語り手)の心の中のイメージを表していて(というふうにわたしはとりました)、
右のページにはおじいちゃんとの実際の思い出(現実)がカラーで描かれています。
前半は何ページにも渡っておじいちゃんとの思い出が描かれ、後半部分ではおじいちゃんが薬をのんでいるイラストなどで、
おじいちゃんは病気らしいことがわかります。
そしていつもおじいちゃんが座っていた椅子に、だれもすわっていないイラストが出てくることで”おじいちゃんは死んでしまった”ことがわかるわけです。
本来なら涙々でおわるところを、バーニンガムはラストのページをすこし髪の伸びた女の子が乳母車を引いて草原を横断している美しいイラストで締めくくります。
そこで、『あ〜この子はおじいちゃんの死を受け入れたんだ』ということがわかるのです。
ジョン・バーニンガム(John Burningham)の 『Granpa』
は、ポストモダン絵本の代表作!
”人間の死”という難しい問題を扱った作品。
文章で『死』が出てこないのに、おじいちゃんの椅子でそれを表現するなんて!
言葉でなく直接目で訴えるこの手法は、かなり衝撃的でした!
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このようにポストモダン絵本では、それ以前テーマとしてタブーだった重い内容を積極的に取り入れています。
この他にもいじめについて扱ったバーニンガムの
『Aldo(アルド・わたしだけのひみつのともだち)』や、
核戦争という大きな問題を扱ったレイモンド・ブリックズの
『When the Wind Blows(風が吹くとき)』など、
人生に関するさまざまな問題を題材にしたものがたくさんあります。
これは、複雑な現代社会において、教育者側からの働きかけがあったと本書でつづられていました。
たしかに現代のこどもたちが直面する問題は、とても重く、どんどん複雑化されて、理屈では解決できないものが多くありますよね。
ジョン・バーニンガム(John Burningham)の
『Aldo(アルド・わたしだけのひみつのともだち)』
いじめ、精神的な孤立、とても重く、難しい問題ですよね。読み終わったとき、涙がこぼれてしまいました。
つらいときに現れるアルド、いつでもそばにいてくれる・・!
う〜ん、ここでぐちゃぐちゃ説明するより、とにかく自分の目でたしかめてみてください!
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また現代絵本には、難しいテーマを言葉少なにイラストで構成されるので、”あいまさ”があるのも大きな特徴です。
これは”未完結性(物語の解釈は読者にゆだねられる)”というのにあたりますが、あいまいなゆえに、
読者が一緒にストーリーを作っていくといういままでの流れとはまったく逆のことがおきているわけですね。
さかぶーも『特別企画☆えほんの多読』でたくさんのバーニンガム・センダック等のポストモダン絵本を読みましたが、
とても多くのことを考えさせられました。
自分の身の回りで考えもしなかった悲しい出来事や、つらく解決の見通しがつかないようなことが起こったときに、
もっともな理屈や、きれい事じゃ解決できないことってあると思います。
現代のえほんは、こういった根が深い問題を、大人の常識や教訓ではなく、子どもの内面に直接目を向けさせることで、
解決の糸口を見つけさせる取り組みをしているんですね。
でも、そういった”闇”をかかえているのは、おとなもこどももいっしょです。
現代絵本は『おとなこそ読みたい!』とさかぶーは感じております!
参照書籍:
『子どもはどのように絵本を読むのか』ヴィクター ワトソン,モラグ スタイルズ,谷本 誠剛 (翻訳)
『Granpa』 John Burningham
『Aldo』 John Burningham
『When the Wind Blows』 Raymond Briggs
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